第730号【特別】(1月24日)「杓子定規な判断をしてはいけない~都職員への訓示~」

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2013年01月24日発行 第0730号 特別
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■■■    日本国の研究           
■■■    不安との訣別/再生のカルテ
■■■                       編集長 猪瀬直樹
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東京都のマネジメントに絡む出来事をネタに、問題解決力を磨く考え方、
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今週のメールマガジンは、猪瀬直樹からの都職員への訓示の内容をお届けし
ます。

1月18日金曜日、猪瀬直樹は平成25年度の予算原案などについて述べた後、
都庁職員への訓示を行いました。 そのなかで猪瀬は具体的な反省事例をあげ
つつ、くりかえし「杓子定規な判断をしてはいけない」と訴えています。

これは都職員に限らず、ついルーティンワークに陥りがちな社会人全般への
警句としても受け取ることができるでしょう。

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「杓子定規な判断をしてはいけない~都職員への訓示~」

「2020年の東京」へのアクションプログラム、平成25年度の予算、組織・定数
の原案がまとまりました。短期間での集中した作業でありましたが、これから
の都政の方向性、改革の方向性を示すものができたと確信しています。これを
基に、改革を、どんどんスピードアップさせていくように、現場で具体的に事
業を展開する中でも、走りながら考えて、政策を更にブラッシュアップさせて
いって欲しいと思います。

そして、先週ロンドンに行ってアピールしてきましたが、今年9月には、20
20年オリンピック・パラリンピックの開催都市が決まります。必ず招致を勝ち
取りましょう。

都庁の総力を挙げて、東京から閉塞感を打ち破り、日本を元気にしていこう
と。東京都職員の仕事は、一地方公務員の仕事ではなく、首都公務員の仕事で
すから、100点満点ではなくて、120点満点、そういうつもりで頑張って
いただきたい。

組織や予算、定数の関係については、各担当局長から、後で、それぞれの局
長に説明があります。

予算等の発言はここで終わりますが、ただいまから、職員全員に訓示を致し
ます。

職員の皆さんが日頃から、各職場で都民のために頑張っていることは承知し
ています。しかし、先日、都立高校を受験した福島の中学生に対して、両親が
揃っていない、福島に父親がいて、母親は東京にいる、揃って転居していない
というそれだけの理由で、東京都の教育委員会が受験を認めなかった。これは
東京新聞が一面トップで報じました。すぐ、それは違うと、東京新聞が違うの
ではなくて、職員の杓子定規な対応がいけないんだということで、受験を認め
ました。

さらには、出初式の日ですが、あの東京消防の出初式、ビッグサイトの横で
やりました。行きました。そうしたら、終わった後に、僕のツイッターに、ス
マートフォンに、うちの息子は消防少年団だけれども会場に入れなかったと、
どうしてでしょうかと、こういう問い合わせがあった。すぐ翌日、消防庁次長
が説明に来ました。説明を求めましたから。そうしたら、20人くらいの少年団
のグループが会場に入れなかったという事実はわかりました。しかし、それは
1万5千人くらいの観客の中に入れようと思えば、ちょっと融通をきかせれば
入れられた。僅かな、ちょっとした気遣いがあれば、杓子定規に対応しなけれ
ば、ちょっと遅れてきただけの20人の少年団員達は中に入れた。集合時間に遅
れた子が2~3人いただけだった。それが全員入れないことになった。

そこで消防少年団は一体何人いるんだ確認すると、3千人でした。それなら
ば、消防少年団というこれから東京を担ってくれる若者をもっと育てればいい
じゃないかということで、消防少年団の団員を2倍の6千人にしようじゃない
かと、すぐ予算の査定の中で確認して新しい形を作ることにしました。

この教訓はどういうことかというと、杓子定規な判断をしてはいけない。同
時に、新しい情報が入ったら機敏に対応する。それを皆さんにお願いしたい。
役所はどうしても昨日の世界です。昨日のルールで動いている。今日何か起き
た時に、今日の対応をしなければいけない。

そこでもう一つ苦言を呈しておきたいが、1月14日月曜日に大雪が降った。
10センチメートル近い雪が降りました。交通機関は乱れている。せっかく東京
都が各局全部アカウントを持っているのに、NHK首都圏でどんどんどんどん
都心の交通状況を報じている、その最中に都庁からの発信が一つもない。もち
ろん、都庁の防災にすぐ連絡を取り、そして防災の部長も、もちろん危機管理
監も連絡を取り、各局やれることをみんなやれという指示が一応行き届きまし
た。したがって、交通局は都営地下鉄はいまどうなっているか、都バスが今ど
うなっているか、もちろん、建設局は道路がどうなっているか、港湾局はお台
場の交通機関がどうなっているか、あるいは臨海線がどうなっているか、ある
いは都市整備局を含めて多摩モノレールがどうなっているか。そういう一つ一
つそれぞれが、皆できるところで情報発信をしなければ、危機管理なんかでき
ません。

すでに何度も報道されたことですが、あの3月11日の大震災の日に、僕のツ
イッターに、スマートフォンに、気仙沼の446人の中央公民館の避難者の一
人から連絡が入って、そしてロンドンを経由して東京にきて、そして東京消防
がすぐヘリを出すと。こういうスピーディな決断ができました。もちろんその
時の東京消防の防災部長は、手続きは省略しますと、こう言ったんです。そし
て生まれて10日目の赤ちゃんも救われた。
これが1時間、2時間、3時間遅れていたら、水も防寒具も何もないところ
にいる避難者は命を失っていたかもしれない。

都立高校の受験生の話。それから消防少年団の、これからの都心の、あるい
は日本の防災を担ってくれる消防団員の基になる人たち、彼らに対する愛情と
いうか眼差しが欠けていたこと。そして10年ぶりの大雪の時に、この間たくさ
ん震災で学んだことが生かされなかったこと。もちろん結果的にほとんど全局
がツイッターで情報を流したので、結果的には生かされたんだが。

我われこれから何が起きるか分からない。とにかく昨日のルールで動いては
だめです。今日、いま起きたことを自分の考えで上司に伝える。伝えてもわか
らなかったら、もう一度伝える。それでもわからなかったらまた伝える。わか
るまで言う。そういうつもりで、そもそも優秀な都庁のチームですから、総力
を挙げてチームワークの力を発揮して、縦割りを越えながら都民のためにやる
ことをすぐやる。いまやらないということは、全くやらないと同じことなんだ。
明日やってもしょうがない。いまやることはいまやる。いまやらないことは明
日もやらない。

皆さん一人一人が改革者となって、都民へのサービスに徹するということで、
一つ改めてここで、新年の挨拶を致しましたが、もう一度、年の始めで訓示を
することにしました。

皆さんと一緒に都民のための改革を進めていきたいと思います。お願いしま
す。

 


「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp


猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■出演情報

・1月28日(月)23:00~23:30 BS日本テレビ「TOKYO DESIGNERS WEEK.tv」
に出演します。

■掲載情報

・1月5日発行『潮』2月号に特別インタビュー「『東京』から日本を変える」
が掲載されました。

・1月10日発行『文藝春秋』2月号の「この人の月刊日記――直木賞、芥川賞、
そして大宅賞知事の誕生 青島幸男、石原慎太郎に次ぐ3人目の“作家知事”
の誕生。その決意は――猪瀬直樹」が掲載されました。選挙に“遭遇”した
作家の生のメモです。

・1月10日発行『Voice』2月号に特別インタビュー「『東京国』が霞が関の壁

を壊す」が掲載されました。

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そのためとんでもない不便を強いられているのは
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改革のためには通勤苦の現状をよしとする
既得権益者との戦いが必要であり、
利用者自身もいまどんな不合理にさらされているか、
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大震災後、東京都を陣頭指揮する副知事の思考と行動20カ条

首都直下型地震への取り組みとは何か

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「いざ」というとき、立ち止まるな!
走りながら考えろ。

ソーシャルネットワークを使った情報収集・発信・即断即決→事後承認、
見えない恐怖を可視化する、先を見通してリスクの芽を摘む、昨日を基準
に今日を生きない……。大震災後、東京都を陣頭指揮するリーダーが、
首都直下型地震対策として自ら実践しているノウハウを、ビジネスマン
向けにアレンジして紹介!   

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□■『東條英機 処刑の日 』■□
〔アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」〕
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猪瀬直樹氏は、
子爵夫人の日記に残された謎を解き明かしながら、
アメリカが日本に仕掛けた
対日占領政策の大きな構図を浮かび上がらせていく。
それによって、現代の日本と占領期の日本との間に漂う
霧のような薄闇を払っていくのである。

梯久美子(「解説」より)

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1983年に世界文化社から刊行され、文春文庫になり、『猪瀬直樹著作集』に
入り、ロングセラーとして版を重ね昨年6月に中公文庫に収録された作品です。

巻末には勝間和代さんとの特別対談「日米開戦に見る日本人の『決める力』」
が収録されました。

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□■『天皇の影法師』■□

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天皇崩御そして代替わり。その時何が起こるのか。
天皇という日本独自のシステムを〈元号〉を突破口に徹底考証。
処女作が待望の復刊です。   

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「天皇は実在するが、また同時に人びとの意識の底にとり憑いた幻想のひとつ
でもある。曲がりくねった鏡張りの回廊を歩くときに歪んだ自分の姿が無数に
映るばかりで天皇の影は見当たらない」(「あとがき」より)

巻末には作家・批評家の東浩紀氏との特別対談「今、ここにある皇室の危機」
が収録されました。

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□■『言葉の力――「作家の視点」で国をつくる 』■□
(中公新書 税込777円)

「東京都副知事で作家の言葉論。ツイッターで文章力を鍛えるには口語体では
なく文章語で書くことだと説く。読書は『10ページ読書』を勧める。それだけ
で頭の中に検索のキーワードができ上がると言う。また、小泉純一郎は<俳句
のように凝縮した1行の力強さがある>が、菅直人は<ページに言葉が埋まっ
ているだけ>といった分析等も興味深い」(読売新聞 8月14日付)

作家として、東京都副知事として進める「言語力再生」。
サッカー界にも導入された「言語技術」やツイッターやフェイスブックなど
のソーシャル・ネットワークのほか、三島や太宰の文体にいたるまで、グロー
バル時代に不可欠なコミュニケーション力の目的・手段を独自の視点で解説。

第一部 「言語技術とは何か」
第二部 「霞が関文学、永田町文学を解体せよ」
第三部 「未来型読書論」

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□■『突破する力』■□
(青春出版社 税込800円)

7刷出来!

道路公団民営化をはじめ、作家として、東京都の副知事として、
さまざまな世間の“壁”を突き破ってきた著者が、
自らの体験を踏まえて綴る、人生を面白くする
本気の仕事&生き方論。

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