[MM日本国の研究745]「24時間運行は市場を創る」

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2013年05月09日発行 第0745号 特別
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■■■    日本国の研究           
■■■    不安との訣別/再生のカルテ
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「24時間運行は市場を創る」

4月の下旬、ニューヨークを訪れた。2020年五輪の招致活動にからむニュー
ヨークタイムズのインタビューで、僕は東京の優位性を語った。残念なことに、
ライバル都市イスタンブールに触れたごくわずかなコメントに焦点があたって、
「他都市を批判してはならない」というIOC行動規範に触れると指摘された。
コメントの一部が不適切と認識される可能性があることは認めなければならな
いから、心よりお詫びする。IOCにはすでに事情を説明した手紙を送ったし、
トルコの閣僚も謝罪を受け入れてくれた。今後は他都市に敬意を表し、招致活
動を続けたい。僕の招致にかける情熱は変わらない。

□まずは都バスで

この訪問中、全米最大の日米交流団体、ジャパンソサエティーで講演した。
僕はここで渋谷―六本木の都バスを24時間運行する、と話した。「クリスマス
プレゼントとして」と付け加えて。都庁内の段取りや国土交通省や警視庁など
との調整を考えると年末まではかかるからだ。

ニューヨークに限らず、ロンドン、パリと先進主要都市はバスを終日走らせ
ている。ニューヨークは地下鉄も24時間運行しているが、これは線路が上下2
本ずつある複々線だからできること。東京は1本ずつしか線路がないから保守
点検で止めないといけない。僕が副知事時代から進めようとしている東京メト
ロと都営地下鉄の一元化が成就すれば、もっと効率よく走らせるアイディアは
あるが、それは別の機会に話そう。今はバスを先にやる。

「都01」と呼ばれるこの系統は都バスを象徴する路線だ。南青山、西麻布、六
本木、赤坂、霞が関と通って新橋駅北口が終点。今も渋谷と新橋駅北口間は23
時と0時台に大人400円の深夜料金で走っているが、終夜運転にする時は渋
谷、六本木折り返しにする。

□仕事の後に娯楽

家に帰る鉄道が終わっている時間になぜバスを走らせるかといえば、そこに
新しい市場を創り出したいからだ。ニューヨークではミュージカルは午後8時
開演が一般的。ヤンキースは7時すぎにプレーボールだ。仕事を終え、軽く食
事をして娯楽の時間が始まる。夜に行動がシフトすれば、一杯飲み屋だけでな
く、アートやスポーツ、レジャーなどさまざまなサービスの、深い市場が生ま
れる。サマータイムのロンドンは夜の9時でも明るい。仕事の後に新しい別の
空間がもう一つできるのだ。

満員の終電に乗って帰るだけの日本的なライフスタイルを転換する機会にな
ってくれないか、と思う。今のライフスタイルで内需は増えない。考え方や意
識を変える、それを含めての「24時間」だ。タイムシフト、フレックスタイム
もやっていける。欧米企業の東京駐在員にとっては、夜中が本社の会議時間だ。
そういう人々が動けば新しい需要が出る。アベノミクスでお札を刷るのなら、
東京はその金が動く市場をつくる努力をする。


(中日スポーツ新聞 2013年5月3日付の連載コラム
「月刊猪瀬直樹」より)



「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp


猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■掲載情報

・5月5日発行『潮』6月号、連載対談「日本を変える次世代の騎手たち」
第12回にブックディレクターの幅 允孝氏との対談「本と人を結びつける『ブ
ックディレクター』の仕事」が掲載されました。

・You Tubeにて、5月4日に放送された MXテレビ9CH『東京からはじめよ
う』(ゲスト:為末大氏)が提供されています。
http://www.youtube.com/playlist?list=PL874C650250E25DD7

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○  ○  ○ ○○○  3月6日発売     ●●● ●  ●   ●

□■『欲望のメディア』□■
(小学館文庫 税込770円)

テレビの歴史は昭和とともに始まった。
巨大化する人間の欲望を飲みこみながら、
テレビは日本的社会システムの同質性をいかにして強化してきたのか。

本書は、力道山、田中角栄ら時代の寵児たちの姿をとらえつつ、
メディアの発達史という観点から現代の天皇制を世界的規模で鋭くよみ解く。

大宅賞受賞作品『ミカドの肖像』、『土地の神話』に続く
「記号としてのミカド」シリーズ完結編 

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○  ○  ○ ○○○  3月6日発売     ●●● ●  ●   ●

□■『増補 日本凡人伝』■□
(ちくま文庫 税込840円)

葬式中継アナウンサー、調香師、消防調査員……
市井の人々の胸中にさりげなく入り込み、怒りや悲しみ、
そして仕事への誇りを語らせる。

インタビューの真髄を見せつける「日本凡人伝」シリーズの傑作選。

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○   ○  ○ ○○○  2月6日発売     ●●● ●  ●   ●

□■『土地の神話』■□
(小学館文庫 税込750円)

都知事就任の25年前から、いまの東京ライフスタイルをつくった
近代都市開発の起源を徹底的に調べ上げていた!

猪瀬流都市論の原点となった読み応えのある傑作。

関東大震災後、東京という街がいかにしてでき上がっていたかを
検証する『ミカドの肖像』の続編ともいえる近代日本論。

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□■『黒船の世紀』■□
(中公文庫 税込680円)

http://www.amazon.co.jp/dp/4122054931/

日露戦争に勝利し、坂の上に辿り着いた日本の目の前には、
次なる仮想敵国として太平洋の向こうにある
大国アメリカが立ちはだかっていた。

黒船来航が与えたトラウマが戦争へと具現化していく過程を、
「日米未来戦記」の書き手たちを中心に、
群像劇として描いた大河ノンフィクション。

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□■『ミカドの肖像』■□
(小学館文庫 税込980円)

緊急増刷!

作家・猪瀬直樹の原点にして代表作。
天皇と日本人、伝統とモダン……。近代天皇制に織り込まれた記号を、
プリンスホテルと西武王国の起源にさかのぼることで読み解いた、
不朽の名作(第18回大宅壮一ノンフィクション賞受賞)。

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□■『東條英機 処刑の日 』■□
〔アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」〕
(文春文庫 税込630円)     



「5月3日の憲法記念日は東京裁判の開廷日。みなアメリカの演出」

「『東条英機 処刑の日』文春文庫、旧題ジミーの誕生日、を読み4月29日の
意味、12月23日の意味、5月3日の意味、そして主権回復の4月28日、
なぜか、休日中、考えるきっかけにしてください」

(猪瀬直樹(@inosenaoki)ツイートより)

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猪瀬直樹氏は、
子爵夫人の日記に残された謎を解き明かしながら、
アメリカが日本に仕掛けた
対日占領政策の大きな構図を浮かび上がらせていく。
それによって、現代の日本と占領期の日本との間に漂う
霧のような薄闇を払っていくのである。

(梯久美子「解説」より)

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○   ○  ○ ○○○  大増刷出来!!     ●●● ●  ●   ●

□■『解決する力』■□
(PHPビジネス新書 840円(税別))

「東京電力とのバトル」、「オリンピック招致」、
「災後社会のネットワークづくり」など、
東京都のマネジメントに絡む出来事をネタに、問題解決力を磨く考え方、
行動の仕方、強いメンタルの保ち方などをわかりやすく説く!

「その日までが勝負」と「その日のみの勝負」
改革とは具体的な数字を示すこと
決断は見切り発車で
ツイッターがつないだ奇跡の絆
日本人に足りない言語技術力

など、世の中の最前線で闘ってきた著者ならではのメッセージが満載。
ヒット作『決断する力』に続く、臨場感あふれるビジネススキル読本

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〇大震災後、東京都を陣頭指揮する副知事の思考と行動20カ条〇

首都直下型地震への取り組みとは何か

□■『決断する力』■□
(PHPビジネス新書 税込840円)

「いざ」というとき、立ち止まるな!
走りながら考えろ。

ソーシャルネットワークを使った情報収集・発信・即断即決→事後承認、
見えない恐怖を可視化する、先を見通してリスクの芽を摘む、昨日を基準
に今日を生きない……。大震災後、東京都を陣頭指揮するリーダーが、
首都直下型地震対策として自ら実践しているノウハウを、ビジネスマン
向けにアレンジして紹介!   

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□■『昭和16年夏の敗戦』 □■
(中公文庫 税込680円)

1983年に世界文化社から刊行され、文春文庫になり、『猪瀬直樹著作集』に
入り、ロングセラーとして版を重ね昨年6月に中公文庫に収録された作品です。

巻末には勝間和代さんとの特別対談「日米開戦に見る日本人の『決める力』」
が収録されました。

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□■『言葉の力――「作家の視点」で国をつくる 』■□
(中公新書 税込777円)

「東京都副知事で作家の言葉論。ツイッターで文章力を鍛えるには口語体では
なく文章語で書くことだと説く。読書は『10ページ読書』を勧める。それだけ
で頭の中に検索のキーワードができ上がると言う。また、小泉純一郎は<俳句
のように凝縮した1行の力強さがある>が、菅直人は<ページに言葉が埋まっ
ているだけ>といった分析等も興味深い」(読売新聞 8月14日付)

作家として、東京都副知事として進める「言語力再生」。
サッカー界にも導入された「言語技術」やツイッターやフェイスブックなど
のソーシャル・ネットワークのほか、三島や太宰の文体にいたるまで、グロー
バル時代に不可欠なコミュニケーション力の目的・手段を独自の視点で解説。

第一部 「言語技術とは何か」
第二部 「霞が関文学、永田町文学を解体せよ」
第三部 「未来型読書論」

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□■『地下鉄は誰のものか』ちくま新書 税込735円■□

東京の地下鉄は2つの事業体によって運営されている。
そのためとんでもない不便を強いられているのは
利用者なのである……

改革のためには通勤苦の現状をよしとする
既得権益者との戦いが必要であり、
利用者自身もいまどんな不合理にさらされているか、
よく知らなければならない

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□■『突破する力』■□
(青春出版社 税込800円)

道路公団民営化をはじめ、作家として、東京都の副知事として、
さまざまな世間の“壁”を突き破ってきた著者が、
自らの体験を踏まえて綴る、人生を面白くする
本気の仕事&生き方論。

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