[MM日本国の研究747]「標準時間を2時間早く 産業競争力会議で提案」
2013年05月23日発行 第0747号 特別
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■■■ 日本国の研究
■■■ 不安との訣別/再生のカルテ
■■■ 編集長 猪瀬直樹
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「標準時間を2時間早く 産業競争力会議で提案」
産業競争力会議終了後の猪瀬知事への記者の囲み取材(速記録)
(2013年5月22日(水)午後7時すぎ 於:首相官邸)
●記者● 今日は猪瀬さんから、どのようなお話をされたのでしょうか。
〇猪瀬〇 もちろん都営交通の24時間化の話をしているのですが、東京はさま
ざまな現場をもっていますから、東京の現場でできることはみんな
やる。それはたとえば医療面では外国人向けに英語を話せる救命救急士を増や
す、そういうことは全部やる。それだけでなく国家としてやらなければいけな
いことがある。それを今日、ご提案させていただいたのです。
まず、標準時間を2時間早めることで、世界の1日のお金の流れが日本から
始まり、アジアの金融センターとしての地位をもういちど確立させる。
海外から富が流入し、日本企業にお金が回る。賃金が上がり、雇用が増え、
消費が刺激されて、デフレ脱却につながっていく。これは国家戦略です。東京
としてやれることはみんなやる。国家としてやった方がよいと思われることを、
今日、提案させていただきました。
●記者● 標準時を2時間早めることに関しては、今日は、どのような意見が
出たのでしょう。
〇猪瀬〇 竹中民間議員が、もしそれができるのなら、すばらしいことだと。
それから、安倍総理が、最後に今日、猪瀬知事からもご提案いただ
きましたと、いろいろ考えていきたいなと承ってもらったと思います。
●記者● 2時間早める、についてもう少し狙いを。シンガポールとか上海と
かの事例を。
〇猪瀬〇 日本はもともと、「日出づる国」だよね。日付変更線にいちばん近
いのだから。ちょうど日本の市場が開いて閉じて、そしてロンドン
で開いて閉じて、ニューヨークが開いて閉じて、そういうバランスが非常によ
いはずですが、シンガポールは1時間時差を早くしています。かつて日本はア
ジアの金融センターだった。しかし、法人税の安いシンガポールや香港や上海
やソウルに、お客さんが逃げている。その富は日本の金融センターで回るとい
うのが本来の姿であると思います。だから、デフレ脱却というシナリオの中で、
標準時間を2時間早くするぐらいの大胆な発想も必要ではないかと思っていま
す。
●記者● 総理の反応をもう少し具体的に教えていただければと。
〇猪瀬〇 それは後で聞いてくださいよ。
●記者● 前向きと言うか、好意的なものですか。
〇猪瀬〇 僕は有識者として呼ばれています。つまり、東京の利益だけを言っ
ているのではない。国家として、日本の経済が回っていくため。た
だし、東京には現場がありますよ。水道や下水道や地下鉄やガスや病院などの
現場が。例えば、アメリカの病院でアメリカの保険が効く病院は当たり前です
が、日本もそういう認証ができる病院は、聖路加病院などがあります。そのよ
うな病院を増やしていけば、富を持った外国の方が日本でビジネス活動をでき
る。そういう現場を、国と話し合いながら、我われはつくっていくことができ
る。
バスもそうです。ロンドンだってパリだって、ニューヨークも24時間。そう
いうタイムシフトした仕事もできるし、救急救命士も英語が喋れる救急救命士
を増やしていく。そういう全体の、日本の国際都市としての東京という現場を、
安倍総理が投げる球を、こちらはキャッチャーとして受け止めながらやってい
く。しかし、国家戦略としては、時差を2時間、標準時間を早めるぐらいの大
胆な政策をやっていただきたい。心のデフレから脱却するためにも。
●記者● すいません知事、時間を早めるのは、マーケットとその関係者だけ、
ということですか。
〇猪瀬〇 マーケットで、東京にお金が集まり、そしてそれが回れば、どんど
んどんどん、デフレからインフレの方向に向きが変わる。中小企業
だって、お金がいっぱい流れていれば、そこに血液が流れてくるのです。
●記者● それぐらい大胆なことをやるべきだという象徴的な話としておっし
ゃったのか、それとも日本社会の動きを、ほんとに2時間前倒しし
ようというような現実的な問題としておっしゃったのか。
〇猪瀬〇 その前にちょっと申し上げておきます。バス24時間化と言いました
が、我われは終電から逆算してライフスタイルをつくっています。
ですから、例えば、サントリーホールで7時からコンサートを聞いて、そして
アンコールの拍手をして、あんまり拍手をすると、終電間に合わなくなっちゃ
うなと心配をしてきている。ブロードウェイは8時からですよね。東京ジャイ
アンツは6時からだけど、ニューヨークヤンキースは7時からとか8時からで
すよね。つまり、終電というものから逆算して我われのライフスタイルは決め
られているから、終電まで残業しようか、という考え方になってしまいます。
しかし、もっと多様な、何時に帰ってもよいのだよね。早く帰る人は早く帰
るし、遅く帰る人は遅く帰るし、あるいは劇場に行ったり、あるいはスポーツ
をしたり、いろんな時間で消費が生まれてきますよね。時間という市場を開拓
できますよね。僕は時間という市場を開拓できないかな、ということの中に、
今日一つ、国家しかできないことは標準時間、ということを申し上げたのです。
●記者● 具体的にどうやるんですか。
〇猪瀬〇 明治時代に暦が変わったときに決めたまんまなんですよ、標準時間
というのは。それは、動かしたりすることはできるのですよ、他の
国は動かしていますから。サマータイムというのも他の国では動かしたのでし
ょ。日本は明治のその時のまんまなんですよ、今。法律変えなくたってできる
のですから。
●記者● 標準時間を早める狙いはわかったのですが、シンガポールなどに外
国の企業が東京から移った本当の原因として一つ挙げられるのは、
日本の法人税の高さだと思うんですよね。法人税の高さについては、何か今日、
ご提案はされたのですか。
〇猪瀬〇 今日提出したペーパーでは、すでにアジアヘッドクォーター特区で、
法人税の減税を含めて、日本に外国企業が拠点をつくった場合、い
ま38.1パーセントの税率をに26.9パーセントまで下げるというところまでは、
これまで話ができています。ヘッドクォーター、つまりアジア本社ができた場
合には26.9パーセント。さらに新しいやり方で、20パーセントまでは下げれば
シンガポールや香港並みになります。26.9パーセントだと、ソウル並みぐらい
です。シンガポールや香港など各国は、法人税をどんどん下げていくことによ
って、企業を誘致してきたのですから、東京もそれは特区の中でできるのでは
ないか、と今日は説明しました。
●記者● 20パーセントという提案については、国側から何か反応は。
〇猪瀬〇 いや、そんなにいっぱい時間ないですから。とりあえず、まずここ
で、問題提起をして、そしてこれが後で国家に政策として、国家戦
略特区として決めていただく時に、そういうことが具体化していければいいか
と思っております。アベノミックスの第三弾として、国際競争の時代に勝ち抜
く日本というイメージで、その中に含まれてくれれば東京はやれることをやる。
提案することを提案したということであります。
●記者● 外国人が増えてくると、当然、子供たちの学校の問題になりますが。
〇猪瀬〇 国際バカロレア資格があるような、そういうインターナショナルス
クールを誘致したい。シンガポールはあるのです。日本にもそうい
う学校を誘致できれば、外国の人は、我われは単身赴任しますが、ご夫婦、お
子さんと一緒にいらっしゃいますので、そういう人たちにきちんと、そういう
サービスが提供できるということを示す必要がある。(略)
●記者● 2時間前倒すことによって、エネルギーの省エネにも資するという
点は。
〇猪瀬〇 いい質問です。そうなります。省エネにもいいんです、確実にね。
●記者● どれぐらい省エネに資するか、その試算もそれはまだ出していない、
これから出していくという感じですか。
〇猪瀬〇 省エネになることは間違いないので。それは試算を作れば、役所に
言えば作りますよ、そんなものは。例えば、オリンピックの経済効
果どのくらいとか、作りますよ、それは。それはあくまでもそういう試算であ
って、発想の問題があれば、試算はいくらでもできます。問題は、大事なのは
発想です。発想が大事なのです、ソフトが大事です。
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別所哲也氏との対談が放送されます。
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・5月28日(火)発行 総合物流情報専門紙『週刊輸送経済』に、「震災への
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・5月5日発行『潮』6月号、連載対談「日本を変える次世代の騎手たち」
第12回にブックディレクターの幅 允孝氏との対談「本と人を結びつける『ブ
ックディレクター』の仕事」が掲載されました。
・You Tubeにて、5月4日に放送された MXテレビ9CH『東京からはじめよ
う』(ゲスト:為末大氏)が提供されています。
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