[MM日本国の研究773]「民間の力生かし活性化」
2013年11月14日発行 第0773号 特別
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■■■ 日本国の研究
■■■ 不安との訣別/再生のカルテ
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「民間の力生かし活性化」
――20年に向けて東京をどう再整備するのでしょうか。
五輪の招致活動で僕が言い続けてきたことは「心のデフレを取り払おう」と
いうことだった。五輪が決まり、消費マインドは明るくなったでしょう。今後、
7年後に向けて個人と国家の目標を重ね合わせて考えるように思考方法が変わ
ってくると思う。
これから大事なのはソフト面だ。都は現在、「時間市場開発プロジェクト」
に取り組んでいる。都バスは12月から六本木と渋谷の間で深夜運行を始める。
試験的に日比谷公園のテニスコートは夜11時まで使えるようにしたし、美術館
の開館時間も夜まで延長した。都営地下鉄やメトロの終電も遅らせて、民間の
バスなどとつながりを良くする。
――夜の市場を活性化するということですか。
会社が終わってビール1杯、焼き鳥1本で家に帰るというのでは消費は伸び
ない。ワークライフバランスを変えて、夜に芸術を楽しんだり、テニスをした
りする人を増やしたい。そうしたなかでカジノ構想も考えていく。
――インフラ面の整備はどうでしょうか。
米軍横田基地の軍民共用化を政府に働きかけていく。石原慎太郎前知事のと
きにも提案したが、今回、五輪も決まったわけだから。東京は現在、国際的な
航空需要に対応できていない。
まずはビジネスジェットなどから横田を使えるようになればいい。米国の航
空会社だって首都圏の空港にもっと乗り入れたいのだから、(横田が使えれば)
双方に利点があるウィン・ウィンの形になると思う。
――首都高速道路など東京ではインフラの老朽化が目立ち始めていますが。
首都高の中央環状品川線がもう少しで開通するし、東京外郭環状道路も20年
までにつながる。そうすれば(完成時期が古い)1号羽田線の更新工事に入れ
る。首都高の築地川区間をPFI(民間資金を活用した社会資本整備)で造り
替える話もあるけど、できる所とできない所がある。これからの話だ。
――競技施設も整備しなければいけません。
都は五輪の競技会場として恒久施設を10個造る。大事なことは単に施設とい
うハードを造るだけではなくて、お客さんを集めて利益が出せるようにするこ
とだ。そのためにはPFIで民間が運営する方がいい。そうした思想がないと
だめ。国が整備する新しい国立競技場だって同じだ。
――都は新たな長期構想をつくるそうですが、どんな都市を目指すのですか。
23年までの長期計画のなかに位置付ける一例が「構造的福祉プロジェクト」
だ。これまで(介護サービスも提供する)ケア付きマンションを整備してきた
が、旧来型の縦割りの発想を変えて、もっと大胆に取り組む。
例えば、若者やファミリー世帯、独居老人などが一緒に暮らす多世代のシェ
アハウスなどを考えたい。コミュニティーを再編する形になり、少子高齢化対
策にもなる。都として取り組むと同時に、民間が新たな商品をどんどん作り出
せるように後押しする。
――五輪の開催が決まり、東京一極集中がまた進むという声がありますが。
そうした懸念は当たらない。政府の43兆円の税収のうち、17兆円は東京から
上がっている。つまり、東京は日本の心臓だ。心臓が活性化してこそ、全国に
お金が流れる。
東京はその心臓の役割を果たそうとしているのに、最近、法人事業税に加え
て法人住民税まで東京から吸い上げようという話が出ているのはおかしい。東
京一極集中などというのは俗論。国の役人が地方の人たちの気持ちを変な方向
に向けている。問題なのは(国に権限が集まる)霞が関一極集中の方だ。
(2013年11月10日(日)付 日本経済新聞)
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■掲載情報
・YouTubeにて、11月2日に放送された MXテレビ9CH『東京からはじめよ
う』(ゲスト:高橋民夫さん)がアップされています。
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・11月19日発行『週刊女性』に、死生観についてのインタビュー掲載予定です。
・11月5日発行『潮』12月号に、AR三兄弟 川田十夢氏との対談「AR=拡
張現実」が書き換える未来地図」が掲載されました。
・11月5日発行『財界』に、「“時間”の市場を開拓することで需要を創り、
東京の潜在力掘り起こしを世界にアピールしていく」が掲載されました。
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